Patent Probe ユーザマニュアル

Patent Probe は、特許リスト(CSV)をアップロードし、Google Patents から文献を自動取得したうえで、Google Gemini による FTO(Freedom to Operate)評価 を行うツールです。


推奨ワークフロー(ベストプラクティス)

精度の高い FTO 評価を得るために、以下の手順で進めることを推奨します。

ステップ やること ポイント
1 調査対象技術を入力する まずは簡易的な記述でも構いません。製品やサービスの概要・主な構成・機能をテキストエリアに入力します。後のステップで AI が内容を充実させてくれるため、完璧を目指す必要はありません。
2 Q&A 補充で質問に回答する 「Q&A 補充」ボタンを押すと、AI が調査対象技術の不足情報を質問してきます。10〜20 個程度の質問に回答すると、技術テキストが具体的かつ網羅的に仕上がります。質問が尽きたら閉じてください。
3 コア-オプション分離を実行する 「コア-オプション分離」ボタンで、技術構成をコア(必須要素)オプション(付加要素)に分類します。分類を確認・修正し、「この分類でテキストを整形」を押すと、FTO 評価に最適化されたテキストに整形されます。
4 CSV ファイルをアップロードする 特許番号リストの CSV をアップロードします。プレビューで特許番号列が正しく検出されているかを確認し、必要に応じて分析対象の行を選択してください。
5 分析を実行する 「分析を実行」ボタンで分析を開始します。各特許について 天秤評価(仮想特許権者と仮想実施者の双方の主張・反論を踏まえた多段階評価)が常に実行され、0〜10 の侵害リスクスコアと理由が付与されます。処理時間・コストの目安は処理件数 × 1 特許あたり数十秒〜数分程度です。
6 結果を確認する 分析が完了すると、結果は スコア降順(10 がリスク最大) で表示されます。フィルタバーで 0〜10 の各スコアに絞り込めるほか、各特許の天秤評価の経緯(双方主張・反論・暫定/最終判定)もカードから確認できます。

この手順に従うことで、調査対象技術の記述が十分に具体化され、AI による評価精度が向上します。


1. はじめに

Patent Probe は以下の流れで FTO 評価を支援します。

  1. ユーザが 調査対象技術(自社製品・サービスの説明)と 特許番号リスト(CSV) を入力
  2. システムが各特許について Google Patents から文献情報を取得
  3. Google Gemini(AI)が各特許と調査対象技術を比較し、侵害リスクの評価を生成
  4. 評価結果を画面上にリアルタイム表示し、完了後は CSV としてダウンロード 可能

重要: 本ツールの評価結果は AI による参考情報であり、法的判断を代替するものではありません。最終的な判断は必ず専門家にご相談ください。


2. 画面の構成

Patent Probe は 1 画面構成のアプリケーションです。

入力画面

領域 説明
サイドバー(左) ライセンスキー・Gemini API キー・分析オプション(モデル選択・思考レベル)の設定
メインエリア(右) 調査対象技術テキストの入力、CSV ファイルのアップロード、分析の実行ボタン

結果画面

領域 説明
ヘッダー 件数表示、調査対象テキスト DL、結果 DL、中断、新しい分析のボタン
プログレスバー 分析の進捗状況をリアルタイム表示。天秤評価の各フェーズ(要約 → 双方主張 → 双方反論 → 天秤初回 → 再反論 → 天秤最終)を 6 ステップのドット表示で示し、完了済みフェーズは緑のチェックマークで明示する
フィルタバー 侵害リスクスコア(0〜10 / Error / その他)で結果を絞り込み
結果テーブル 天秤評価の暫定/最終判定や両当事者の主張を含むカード/テーブル形式で結果を表示。既定でスコア降順(10 → 0)に並ぶ

3. 基本的な使い方

3.1 基本設定を入力する

サイドバーの「基本設定」セクションで以下を入力します。

ライセンスキー

  • 本ツールの利用に必要な認証キーです。
  • 管理者から配布された ライセンスコードPROBE-XXXX-XXXX-XXXX 形式)を入力してください。
  • パスワードフィールド形式で、入力内容は表示されません。
  • 失効・期限切れのコードは利用できません。再発行が必要な場合は管理者に連絡してください。

Gemini API キー

  • Google AI Studio 等で取得した Gemini の API キーを入力します。
  • API キーを入力すると、分析や各種補助機能が有効になります。

注意: 無料枠の API キーを使用した場合、入力データが AI の学習に利用される可能性があります。機密情報を扱う場合は、課金設定済みの Google Cloud プロジェクト で発行した API キーを使用してください。

3.2 調査対象技術を入力する

「調査対象技術」テキストエリアに、FTO 評価の対象となる 自社製品・サービスの説明 を入力します。

  • Markdown 形式 で記述することを推奨します。
  • 構成例:
# 概要
対象製品・サービスは...

## 構成・機能
- ...を備える
- ...を行う

## 想定用途・運用条件
- ...

## 補足・前提条件
- ...

テキストは ブラウザのローカルストレージに自動保存 されるため、ページを再読み込みしても入力内容が保持されます。

テキストエリアの右上には以下の補助ボタンがあります。

ボタン 機能
Q&A 補充 AI が質問を生成し、回答内容を調査対象技術テキストに自動反映(6.1 参照
コア-オプション分離 技術構成をコア(必須)とオプション(付加)に分類し、テキストを整形(6.2 参照
.txt 保存 現在の調査対象技術テキストを .txt ファイルとしてダウンロード

3.3 CSV ファイルをアップロードする

「CSV ファイル」セクションで、特許番号リストの CSV ファイルを読み込みます。

アップロード方法

  • クリック してファイル選択ダイアログから選択
  • ドラッグ&ドロップ でファイルを直接投入

対応フォーマット

  • 文字コード: UTF-8、UTF-16(LE/BE)、Shift_JIS(CP932)を自動判別
  • CSV 形式: J-PlatPat ELP 形式および一般的な CSV 形式に対応
  • 特許番号列: 以下の列名から自動検出します
  • 公報番号、出願番号、登録番号、公開番号
  • Publication Number、Application Number、Patent Number など

CSV プレビュー

ファイルを読み込むと、プレビューが表示されます。

  • 特許番号列 にはチェックマーク(✓)が付き、ハイライト表示されます。
  • 各行のチェックボックスで 分析対象の行を選択・除外 できます。
  • ヘッダーのチェックボックスで 全選択 / 全解除 が可能です。
  • 「展開」「さらに展開」で表示行数を増やせます。
  • 「リセット」でファイルをクリアできます。

CSV ファイルもブラウザのローカルストレージに保存されます(ファイルサイズ上限あり)。

3.4 分析を実行する

  1. ライセンスキー、Gemini API キー、調査対象技術、CSV ファイルがすべて入力されていることを確認します。
  2. 分析を実行」ボタンをクリックします。
  3. 高コストの設定(思考レベル High など)を使用している場合は、確認ダイアログが表示されます。
  4. 分析が開始されると、画面が結果画面に切り替わり、リアルタイムで結果が表示されます。

分析中はブラウザを閉じないでください。 分析結果は Server-Sent Events(SSE)でリアルタイムに受信しています。


4. 分析結果の見方

4.1 侵害リスクスコア(0〜10)

各特許は、(A) 技術分野・課題・解決手段の関連性、(B) 独立請求項の構成要件の充足状況の双方に基づき、0 以上 10 以下の整数スコアで評価されます。

スコア帯 意味(要約)
9〜10 全構成要件を充足する可能性が高い/明確。技術分野・課題・解決手段にも強い関連性。最優先で要注意
6〜8 一部構成要件は充足の蓋然性があるが、なお充足が不明な点が残る。追加調査推奨
3〜5 一部または複数の構成要件で非充足の蓋然性が高い/明確な非充足を断定できる
0〜2 技術分野・課題・解決手段が大きく異なり、構成要件の対応もほぼ認められない
Error 文献取得や評価処理でエラーが発生した

詳しい判断基準(0〜10 の各スコアの定義)は、結果カードの「プロンプト表示」から実際に LLM へ送信したプロンプトを参照できます。

各結果には、スコアのほかに AI 要約(特許の概要)と 理由(評価の根拠:どの構成要件・技術的対応がスコアの決め手か)が付与されます。

4.2 結果の並び順とフィルタリング

  • デフォルトの並び順: スコア 降順(10 → 0、Error と「その他」は末尾、同スコア内は CSV 行番号の昇順)。侵害リスクの高いものが上に来るため、確認の優先度が一目で分かります。
  • フィルタバー: 結果テーブル上部のボタンで、表示するスコアを絞り込めます。
  • すべて:全件表示
  • 10 / 9 / 8 / 7 / 6 / 5 / 4 / 3 / 2 / 1 / 0:各スコアごとに絞り込み
  • Error:エラー行のみ
  • その他:上記いずれにも該当しない行(パース失敗など)

各ボタンには該当件数が () 内に表示されます。該当 0 件のボタンは薄く表示されます。

4.3 ページネーション

結果は 1 ページあたり 100 件ずつ表示されます。「前へ」「次へ」ボタンでページを移動できます。

4.4 結果 CSV のダウンロード

分析が完了すると、「結果 DL」ボタンが有効になります。

  • クリックすると、全分析結果を含む CSV ファイルがダウンロードされます。
  • CSV には画面に表示されている列(スコア・理由・AI 要約・URL など)に加え、天秤評価の詳細列(双方主張・双方反論・暫定判定・再反論・最終判定の本文)と 元の CSV の列 も含まれます。
  • ファイル名は次の形式で自動生成されます。3 ステージ(要約・当事者主張・天秤評価)で使ったモデルと思考レベルが分かるように接頭辞が付きます。
sum-{要約モデル_思考}_arg-{当事者主張モデル_思考}_bal-{天秤評価モデル_思考}_{日付}_{元CSV名}.csv

4.5 調査対象テキストのダウンロード

調査対象 DL」ボタンをクリックすると、分析に使用した調査対象技術テキストを .txt ファイルとしてダウンロードできます。


5. 分析オプション

5.1 ステージ別 モデルと思考レベル(詳細設定)

サイドバーの 「詳細設定」 ボタンを押すと、各処理(要約 / 当事者主張 / 天秤評価)ごとに使用する Gemini モデルと思考レベルを個別に選択できるパネルが展開されます。閉じたままでも以下の既定値で分析が実行されるため、初めて使うときは何も触らずに「分析を実行」できます。

ステージ別 既定値

ステージ モデル既定 思考レベル既定 役割
要約 Gemini 3.1 Flash-Lite Minimal 各特許の請求項・明細書要旨を短文要約する処理
当事者主張 Gemini 3.1 Flash-Lite High 仮想特許権者・仮想実施者の主張/反論/再反論を生成する弁論モデル
天秤評価 Gemini 3.5 Flash High 裁判官役(暫定/最終判定)。最終ラベル決定の精度を最優先するため最高品質構成

選択可能なモデル

表示名 モデル ID 特徴
Gemini 3.1 Flash-Lite gemini-3.1-flash-lite GA 版。最も軽量・最安。要約・スクリーニング・当事者主張の既定
Gemini 3 Flash gemini-3-flash-preview プレビュー版。Lite より高品質な汎用 Flash。
Gemini 3.5 Flash gemini-3.5-flash GA 版。最高品質。トークン単価は約 3 倍。天秤評価の既定

思考レベル

Gemini の thinking_level を 4 段階から選択できます。

レベル 説明
Minimal 推論をほぼ行わず最速・最安で応答(要約の既定)
Low 軽めの推論。短時間で構造化された応答が必要な場合に
Medium 速度と精度のバランス型(当事者主張の既定)
High 推論を最も深くし精度を最大化。処理時間・費用が大きく増加(天秤評価の既定)

既定値は最終判定の品質を重視した構成です。複数件・大量の特許を対象にする場合や費用を抑えたいときは、思考レベルを下げる・モデルを Lite に切り替えることを検討してください。

High や Gemini 3.5 Flash を選択している場合、分析実行時に費用確認のダイアログが表示されます(既定の天秤評価設定でも警告対象です)。

5.2 天秤評価

天秤評価は、より精度の高い FTO 評価を行うための多段階評価モードで、全ての分析で常に実行されます。各特許について、以下の多段階フローで評価が行われ、最終的に 0〜10 の整数スコアと理由が決定されます。

ステップ 内容
1. AI 要約 特許文献の概要を生成
2. 双方主張 仮想特許権者と仮想実施者がそれぞれの立場で主張
3. 双方反論 相手方の主張に対する反論を生成
4. 天秤初回 双方の主張・反論を踏まえた暫定判定(暫定スコア)
5. 再反論 暫定スコアに応じて、侵害側または非侵害側のいずれかが暫定判定への再反論を提出(暫定スコア 6 以上で実施者側、5 以下で特許権者側)
6. 天秤最終 暫定スコアと再反論を踏まえた最終判定(最終スコア)
  • 進捗ステッパー上、完了済みフェーズは緑のチェックマーク、現在処理中のフェーズは緑色の発光ドットで表示されます。
  • 結果カードから「経緯を表示」ボタンで、双方の主張・反論・暫定判定・再反論・最終判定の全過程を確認できます。
  • プロンプト表示」ボタンで、暫定判定および最終判定に使用したプロンプトを確認できます。

注意: 天秤評価は単発 FTO 評価と比較して 約 5 倍の API 呼び出しを行うため、Gemini API の利用料金は単発評価相当の約 5 倍を見込んでください。コストを抑えたい場合は モデルを Lite に思考レベルを Minimal に してください。


6. 調査対象技術の補助機能

6.1 Q&A 補充

調査対象技術テキストの内容を、AI との対話を通じて充実させる機能です。

使い方

  1. 調査対象技術テキストにある程度の内容を入力しておきます。
  2. Q&A 補充」ボタンをクリックします。
  3. AI が不足している情報を質問として生成します。
  4. 質問に対して、選択肢の候補から選ぶ か、自由入力 で回答します。
  5. 選択肢と自由入力は併用可能です(選択肢 + 補足テキスト)。
  6. Ctrl+Enter(Mac は ⌘+Enter)でも送信できます。
  7. この内容で反映」をクリックすると、回答内容が調査対象技術テキストに自動反映されます。
  8. 続けて次の質問が生成されます。十分であれば「閉じる」をクリックします。

6.2 コア-オプション分離

調査対象技術を構成要素に分解し、コア(課題解決に不可欠な要素)オプション(効果を高める付加的要素) に分類する機能です。

使い方

  1. 調査対象技術テキストにある程度の内容を入力しておきます。
  2. コア-オプション分離」ボタンをクリックします。
  3. AI が技術構成を分析し、各構成要素を「コア」または「オプション」に分類した候補を表示します。
  4. 各構成要素について以下を確認・修正します。
  5. AI 推奨 の分類(コア / オプション)
  6. ラジオボタンで分類を変更可能
  7. 補足・修正 テキストエリアに追加情報を記入可能
  8. この分類でテキストを整形」をクリックすると、分類に基づいて調査対象技術テキストが整形されます。

注意: 「コア」を多く選ぶとノイズが減る代わりに漏れが増える可能性があります。「オプション」を多く選ぶとノイズが増える可能性があります。


7. 分析の中断

分析の実行中に「中断」ボタンをクリックすると、分析を途中で停止できます。

  • 中断した時点までの結果は保持されます。
  • 結果 CSV のダウンロードも可能です(中断時点までの結果のみ)。

8. 管理者向け:ライセンスコードの発行・管理

サービス提供者は 管理者画面 (/admin) からユーザーごとのライセンスコードを発行・管理できます。

8.1 管理者画面へのアクセス

  1. ブラウザで https://<サービスURL>/admin を開きます。
  2. ログイン画面で 管理者パスワード(環境変数 PAT_ADMIN_PASSWORD)を入力します。
  3. 認証に成功するとセッション Cookie が発行され、24 時間(既定)有効です。

8.2 ライセンスの発行

「ライセンス発行」セクションから、利用者ごとに次を設定して発行します。

  • ラベル / メモ: 受け取るユーザー名や所属など、後で識別するためのメモ(任意)。
  • 有効期限: 日付を指定すると、その日の終わりに自動失効します(空欄で無期限)。

「発行する」を押すと、PROBE-XXXX-XXXX-XXXX 形式のコードが生成され、画面に一度表示されます。コピー ボタンでクリップボードに転送し、ユーザーに共有してください。

8.3 一覧と失効

「発行済みライセンス一覧」では、発行されたコードの状態(有効/失効/期限切れ)と最終利用日時を確認できます。

  • 失効 ボタンを押すと、そのコードは即座に無効化され、復活できません。
  • 失効後はユーザーがそのコードでログインしようとしても拒否されます。

8.4 注意点

  • ライセンスコードの台帳は GCS バケットの admin/licenses.json に保管されます。手動編集は推奨しません(管理画面から操作してください)。
  • 1 つのコードで 複数ユーザー・複数ブラウザの同時利用 を許容しています。組織内で同じコードを使い回すケースを想定しています。
  • 旧運用の固定 PAT_LICENSE_KEY を残している場合、その値も引き続き受理されます。新運用に完全に切り替えたい場合は環境変数を空にしてください。

9. 注意事項・トラブルシューティング

Gemini API キーについて

  • API キーには 全角文字や不可視文字、BOM を含めないでください。エラーの原因になります。
  • コピー&ペーストした際に不要な空白が入る場合がありますのでご注意ください。
  • 利用するモデルはプレビュー版であり、仕様やレート上限が変更される場合があります。

ブラウザに関する注意

  • 分析中はブラウザのタブを閉じたり、ページを離れないでください。
  • ネットワーク切断等で接続が途切れた場合、自動的にサーバの分析状態を確認し復旧を試みます(最大約 10 分)。

CSV ファイルについて

  • 特許番号の列名が自動検出されない場合は、列名を「公報番号」「出願番号」「登録番号」「Publication Number」等に変更してください。
  • ファイルサイズの上限が設定されている場合があります。大きすぎるファイルはアップロードに失敗することがあります。

費用について

  • Gemini API の利用には API 利用料 が発生する場合があります。
  • 天秤評価は常時実行のため、単発 FTO 評価相当の約 5 倍の API 呼び出しが行われます。さらに 思考レベル HighGemini 3.5 Flash を選択すると、費用と処理時間が大幅に増加します。
  • 分析前に表示される確認ダイアログをよく確認してください。

データの保存先

  • 入力した調査対象技術テキスト、CSV ファイル、各種設定は ブラウザのローカルストレージ に自動保存されます。
  • ライセンスキーと Gemini API キーは ローカルストレージに保存されません(セキュリティのため、ページ再読み込み時に再入力が必要です)。

本マニュアルは Patent Probe のユーザ向け操作ガイドです。システムの構築・運用に関しては、別途 README.md をご参照ください。